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内観原法とは?

なぜ7泊8日間が必要なのか?

ある内観の集いに参加した時に内観体験者から「6泊7日間の内観研修所が多い中、北陸はなぜ7泊8日間なのか」と尋ねられました。

 

吉本師が逝去し、師を直接知らない人々が増えています。また、吉本師が確立した内観法、つまり内観原法を応用した内観変法も多様にあります。それによって、内観のすそ野も広がっています。しかし、中には一変法を内観法そのものだと思い込んでいる人も増えています。

 

7泊8日間の日程が必要なのは、もちろん意味があります。師は「内観が深まるのは、最終日。つまり日曜日入所であると、土曜日。この日がぐっと深まる」と断言していました。では、内観の原型深まりそしてその効果とはなんでしょうか。

 

吉本伊信

 

内観原法

吉本師の確立した集中内観の型は次の通りです。

 

吉本伊信の内観研修所

 
・期間は7泊8日間。6泊7日間の内観研修所について、吉本師は「最終日が内観の深まる一番大事な時期なのに、なぜ一日短くするのだろうか」と疑問視した。
 
・年中無休。吉本師は「もし内観したいと思った時は、たとえ田植えの最中でも、どれだけ忙しくても、すぐ来て下さい」と言っていたが、内観者のいない日は一日もなかった。その間、一万一千人以上の人が集中内観に来所した。
 
部屋の隅に二枚屏風を立てて、その中で安座する。あぐらでも立てひざでもかまわない。足腰の悪い人は椅子に座ったままでもできるし、病気の人はベッドに寝ながらでもできる。
 
・朝5時起床、夜9時就寝。朝30分間掃除をし、一日15時間半内観をする。
 
・面接は1時間〜2時間に1回(1日に8回〜10回)。吉本師は「30分以上経ったら面接に回ってもよい。そのほうが内観者は油断しなくてよい」と話していた。
 
・1回の面接時間は2〜3分間、長くても5分間以内になるように努める。理由は、内観は話すことによって深まるのではなくて、自分を見つめている時間が大切だからである。
 
・面接時は、内観中に想起したことを日記帳でも読むように全部話す必要はないその中から〈してもらったこと〉を一つ、〈して返したこと(して差し上げたこと)〉を一つ、〈迷惑かけたこと〉を一つ話せば十分である。だからといって、一つ思い出したから、これで面接の時に話せると油断していては内観が深まらない。ちょうど習字の練習をする時、何十枚練習しても、添削を受けるのに提出するのは一枚か二枚である。それと同じ要領でやる。一枚しか練習しなければ上達は望めない。
 
・無理のない限り、原則として母に対する自分を小学校低学年から調べる。吉本師は「小学校へ入学する前は他者から聞いた話が多くなる。そういう記憶の曖昧な年代に時間をかけるよりも、小学校へ入ってからの意識のはっきりした年代を調べるだけで、内観する材料は沢山ある」と明言した。しかし、二回目以降になれば、「物心ついてから、小学校へ入るまでのことも調べてみて下さい」と言っていた。
 
・〈してもらったこと〉〈して返したこと〉〈迷惑かけたこと〉の3項目について、具体的な事実を過去から現在まで年代順に3〜5年ごとに区切って調べていく。思い出すのが難しい人の場合は、例外的に現在から過去にさかのぼって調べる場合もあるが、順調に内観できるようになれば又、過去から現在へと本来のやり方に戻す。
 
・内観3項目を調べる時の時間配分は〈してもらったこと〉に20%、〈して返したこと〉に20%、〈迷惑かけたこと〉に60%
 
・母が終われば、次は父、配偶者、祖父母、同胞、子、嫁、姑、恩師、友人、上司、部下、取引先などこれまでの人生において自分と関わりの深かった人について、関わりの深い順に一人ずつ調べる。嘘と盗みのテーマも課す。内観に来た人の目的によっては、養育費の計算や酒、ギャンブル等に使ったお金の計算もしてもらう。
 
・内観中は原則としてメモはとらない。吉本師は「畳にしがみついて号泣慟哭している人が、チョット、メモしておかなければ忘れるというのはおかしい。メモを書いている時間、文章を考えている時間あれば、一分一秒を惜しんで内観してほしい」と語っていた。
 
若き日の吉本伊信・朝、昼、夕の食事時に60分〜90分の内観テープを聞いてもらう。

                   

 

 

 

「内観の原点」,長島正博著「内観研究」より抜粋

 


内観の深まり

吉本師は内観の目的を「いかなる逆境に遇っても、つねに感謝報恩の心境で暮らせる気持ちに大転換すること」と述べています。

 

感謝報恩とは、自然と今あることが「有り難い」と感じ、それに報いたいと思えることです。そうなるには、生きていく中で心に引っかかっている(もやもやしている)出来事を見つめ直し、捉え直していく作業が必要です

 

つまり内観です。

吉本伊信と長島正博

内観が深いとは、「記憶想起の量や質と感動量が良好」と定義されています。

 

一つの観点は、記憶想起です。

内観は3つの質問(「お世話」など)に対する記憶想起のトレーニングともいえます。過去のエヒソードをどれだけ鮮明に思い出せるか、それには日数が必要です。

 

もう一つの観点は、感動です。

感動は、「今まで思い込んでいたことが、そうではなかった」という捉え直しが、心の転換となり大きな感動を生みます。この大きな感動は、ネガティブな出来事をさまざまな側面から理解し直した瞬間に起こる、ポジィティブな情動です。

 

たとえば、幼少期に父親によく叱られて苦手意識があるとします。父親に対してネガティブな側面があり、現在も父親が苦手だという例を考えましょう。子どもの認知の仕方として、直接的な出来事をそのまま受け取るという特性があります。大人だったら、悪いこと(事実)をしたから叱られたと受け止められることが、子どもは「叱られた」という直接的なイメージ、つまり恐怖(感情)だけが残る事があります。この場合、善悪の問題ではなく、心が未発達なのです。(悪いことをした)事実は忘れ去られているのです。

 

内観を継続していくと、叱る父親ばかりではなく愛情を注いでくれた側面(事実)も思いだします。さらに、なぜ父親はよく叱るのかという生い立ち(背景)をも考えます。すると父親は厳しい家庭に育ったからだったとか、本人の幼少期に父親は病気だったと多面的に理解し、自分と同じく父親も弱い一面をもつ人(仲間)なのだと受け入れることが出来てきます。この気づきも、感動を呼びます。

 

苦手な父親にも、本人は愛情を注がれ「生かされている」と感じとると、報恩感謝の気持ち、大きな感動がわきます。

 

思いもしなかった記憶想起と感動。内観最終日、映画の一シーンのように、リアルな動画が心の中で繰り広げられます。

 

7泊8日目には事実が湧きでて繋がり、自己・他者受容ができる

はじめ想起は、出来事がバラバラに思い出されます。思い出す作業で精一杯です。想起トレーニングの成果によって、最終日には意識的に想起しようとしなくても、次々と出来事が浮かび、その事実に圧倒されます。

 

幼少期の行動は、好き嫌いなど感情だけで行動しています。しかし最終日には、なぜその行動をとったのか、幼少時代に自分が親に言えなかったこと(抑圧されたこと)や悲しさなど、その当時には意識にあがらなかった事実が蘇ってくるのです。なぜ悲しかったのか、親子の受け取り方のすれ違いや、子どもであったための自己中心性、親の背景などが一期に繋がります。今ある自分は、どうしてこうなったのか大きく頷け、自分を受け入れることができるのです。

 

もやもやの原因がわかり、すっきりします。

 

イライラや怒り、苦手意識が減る

吉本伊信と橋口勇信

7泊8日目間あると、時間的な余裕があるので基本テーマ(母などの家族)だけではなく、現在悩んでいる人(たとえば職場の人)に対しても調べられます。面接回数が多いほど、いろいろな方を調べることが出来ます。つまり、問題の対象をしっかり内観できるのです。

 

特に、40代や50代など年代が増すと生きてきた年数が加算され、調べるテーマ(約5年毎のため)が増え、内観の時間が足りなくなることが見受けられます。内観回数が、必要です。

 

先ほどの、父親へのにがて意識をもっていた人は、怒鳴る人とかイライラしがちな会社の同僚が苦手でした。関わりたくないという苦手意識が先行し、その人が居る職場が苦痛でした。職場の対人関係を調べていく中で、父親とその同僚がオーバーラップし、自分の問題だと捉えると、同僚への苦手意識が減り、気楽に話してみようかなという気持ちになりました。

 

父親の苦手意識が消えると、苦手な同僚の言動も苦にならなくなったのです。

 

子ども時代にもつ親へのネガティブな側面(怒鳴るなど)は、感情だけが残り大人になって似通った側面を持つ人に投影されがちです。つまり子ども時代に根付いてしまった対人関係のベースである母親・父親への意識・感情が変わると、現在の関わりの悪い人への意識・感情が変わるのです。

 

感情のベース(親との関係)を内観し、現在の内観目的の人(これは内観がすすむにつれ焦点化されます。この事例の場合は、苦手な同僚)を内観することによって、問題の解決への糸口になります。

 

ネガティブな感情が変わるには、7泊8日間の内観が不可欠です。

 

 


 

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